現代人の私たちが冷静に考えてみれば、天誅という名の闇討ちも、血の掟で繋がった新撰組も、テロリストやゲシュタポと同じ。どうやっても正当化できない所業を重ねた人々ですが、なぜか惹き付けられるものがあります。それは、彼らが己の信じるものに命を掛けていたからかも知れません。他人にとっては許しがたい悪も、自分にとっては正義。その正義を貫くために、人情を捨て手段を選ばなかった彼らに、不思議と嫌悪感を感じない、それどころか、その潔さに憧れさえ感じてしまうのです。
でも、本当のところは、どうだったんだろう。なぜ、正義なんて曖昧なものに命を掛けられたんだろう。
維新から150年たった今、芝居にしてみることで、演じてみることで、彼らのことを知りたい、知ってもらいたいと思います。
時代は幕末の動乱期。開国か攘夷か、尊王か佐幕か、主君への忠誠か民の幸福か、昨日の危険思想は今日の正論、英雄は一日にして国賊に変わる時代。ある者は新しい国を実現しようと、ある者は愛する国の美しい姿を守ろうと、自らの信じる正義の刀を振りかざし、日々斬り合いに明け暮れた若者たちの姿を描きます。